: 7073
蛍光灯の明かりの下、 見知らぬ森の奥底の方、 人を惑わす甘い香りで、 手足が独りでに誘われる。 からだ中に差し込まれてく、 魔なる者の冷たさが、 明滅する意識の中で、 逃げ道を探し出す。 地を彷徨い、 引っ掻き削る、 新たな贄を求めて。 いつも見ていた光景を、 疑ったことはありますか、 赤黒い火が揺らいだ時、 灰へと還ってゆく。 いつも見ている夢の中、 空の意識は扉の外、 もがく腕や足はいずれ、 眠るあなたの元へ。 骸は踊りされど戻らず、 何も知らない街は腐り、 かくれんぼして鬼ごっこして、 捕まったあなたはヒトですか? 湿り続けてる部屋の隅、 魔なる者の潜む息が、 黒い月に映し出されて、 抜け道で待っている。 地を彷徨い、 引っ掻き削る、 迷える贄を求めて。 いつも見ていた光景を、 疑ったことはありますか、 赤黒い火が揺らいだ時、 灰へと還ってゆく。 いつも見ている夢の中、 空の意識は扉の外、 もがく腕や足はいずれ、 眠るあなたの元へ。 帰りの道を、 思い出しても帰れない、 従うしかないのです。 いつも見ていた光景を、 疑ったことはありますか、 赤黒い火が揺らいだ時、 灰へと還ってゆく。 いつも見ている夢の中、 空の意識は扉の外、 もがく腕や足はいずれ、 眠るあなたの元へ。 冷え切った身体で、 沢山齧りつくし、 あなたを待っている。