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竹の春は風の日より、 待宵も待つ、天つ少女。 天つ罪、包み隠せど、 摘み、積もる芹。 罪有りて配所の月を、 見つめた継ぎ接ぎの月日は、 あなたとならば雨夜の月も、 天満月のよう。 鵲の鏡の咎も、 日日並べて虧けたから。 月草の仮偽は掻き消えて、 移る現の夢。 突き崩せぬ潮汐の鍵は、 移ろわぬ虚。 月の桂は木染月の、 日陰の蔓から、 積み重なる朝夕の限り、 尽きず見えますか。 十返花は反らばに、 端から白浜波に消え、 隻影の千代待つの木へ、 無常鳥の声。 非時香菓さえ、 形許りの常しえなら、 吹き頻くような苦悩の身は何故、 未だ立ち別れを、 怖れるか。 己が故か。 橘鳥は鳴いた。 遠廻しに物語は、 余所がましく騙し、 烏滸がましい物笑いだけは、 もう終わらないで。 柳因の巡る無人の地、 初に、海に芽吹き、 無韻の詩の兎が伝えた、 拙い追憶。 梢そよがす風、数えて、 枷言葉。 濡ぬ雨から逆水。 全て電波の所為です。 唐棣花色は冴えを捧げて、 跳ねず恋いる兎。 阿摩羅も余さずあからめさす、 贖いの蛙楽。 足掻に吾が花を挿すなら、 ささはなさ月には、 茜さす朝に諍う夜が、 雨障を止む。 結わく憂惑、芙蓉の烟、 百万里外の心。 月夜、見おこせ給へ。