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花見酒に凍えた空、 呑み明かし酔い潰れて、 浮世に咲く薄紅色、 月夜に思い耽る。 烏兎怱怱と時は進み、 盃に垂れ流るる。 蟠るは桜吹雪、 酒乱に溺れるのです。 雲隠れして、 月に望んだ。 染み入り狂うのは、 春の酒でした。 瞞しに淀み続け、 桜を欺ける様に、 モノクロに褪せる音色、 酒に揺られ、 記憶に遺る。 千鳥足にも満たない、 乙女を惑わせる程に、 口先に雫滴る、 春の訪れ、 全て希望の所為です。 花見酒を飲み干す月、 深海へと溺れ逝く。 未知を恐れ足が竦む、 星は生まれ蕩ける。 有象無象の酒の苦味、 盃へと注ぎ込む、 心酔した此の世の末、 恣意的に振るうのです。 雲隠れして、 酒に溺れた、 染み入り狂うのは、 春の酒でした。 酒に溺れた、 譫妄せし売人の、 声を枯らして喚いた、 朝が間もなく来る。 瞞しに淀み続け、 桜を欺けるは… モノクロに褪せる音色、 酒に揺られ、 記憶に遺る。 千鳥足にも満たない、 乙女を惑ゎせる程に、 酔いが醒める卯の刻に、 悔い改めるのでしょう。