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突然ですが、貴方は上位存在というものを信じていますか? 先に断っておくと、イデアを跋扈している連中とは私は違うのですから、 押し付けがましいことを企んでいる訳ではありません。 聞いた話では、 ほとんどの知的生命体には「宗主」と呼ばれる存在が1:1対応で存在し、 全ての例でその「宗主」から放たれたエコーを吸収して初めて、 当人の肉体が成り立つらしいです。 ならば私の「宗主」とは誰なのでしょうか? あの人の訃報については、私の耳にも直ちに入ってきました。 毒々しい果実の粒を丁寧に潰していくように、 私たちの余命は定まっているのかもしれません。 私にとっては『彼』と関係を持たないようにこれまで尽力してきたので、 差し迫った問題を転嫁されずに済みました。 今の私の宗主は他の多くの存在と違って、 自分の責任を自分で片付けることに定評があるようで、 ちょっとした事では靡かないところに安心感を感じることができます。 とはいえ、 彼も実体のある存在であることに変わりはないので、 何かやらかさないかは少しだけ心配です。 春祭りが終わった数日後に、妹が行方を眩ましました。 置き手紙と共に残されていたSDカードの中には、 未完成の2人分の胎児が梱包されていました。 こいつらを見栄えの効く状態に仕上げて川に流すのが次の私の仕事になりそうです。 しかし、私には本当に妹が居たのでしょうか? 妹と春祭りに行ったという事実記憶だけが残っていて、 その時の妹の顔を思い出すことができません。 もし妹が最初から居なかったとすれば、 此処にある手柄は元から私のものとなりますが、 私自身がそれを記憶できていないのです。 どうやら私は、名前も知らない誰かを恨まなければならなくなりそうです。 【「お前を絶対に許さない。」】 幻聴。 時に人を苦しめ、時に人を導く、背後霊のような概念。 「宗主」が常に寡黙であるのに対して、これは他の誰よりも雄弁で、 私の中を迸る電波でさえも阻害してしまいます。 私は「誰も君を愛さない」という合言葉をそれとの間に持っていましたが、 今では使えなくなってしまいました。 しかしそれは同時に、次のような言葉を新たに囁きかけるようになったのです。 (¹のDSC音源が放送される。) 私はかねてより取り押さえていた端数の土地にしばらく滞在し、 自分自身の計画を進めるまでです。 最近、ある男を部屋に迎え入れました。 私と同じ色の服を着ていた彼は、 常に自分がいかに優秀であるかを口から語っていながらも、 常に雰囲気で謙遜をしているような人物であり、 そのような意味で『彼』とは真逆だと印象付けられました。 彼と私は利害が一致したことで、 しばらくの間いくつかの共同声明を出し続けることを契約しました。 1週間前に起こった災害により、 世間では話がマトモに通じる人の方が少なくなってしまいました。 私の家の前にも瓦礫という瓦礫が幾ら掃いても際限なく集まってきて、 対応に困憊せざるを得ません。 何か大きな岩を動かすということは、 それによって通れない場所が生まれ、分断を生むことなのでしょう。 環境が外的要因で変化したことを理解し、 それに適応することを求められている時期のような気がします。 貴方は理解していますか? 貴方の言葉で一人の人間が傷ついているかもしれないのですよ。 世界のすべてが、 毎日よりつまらないものに成り下がっているような気がしてなりません。 長い期間ここに住んで気付くのが今更だったのかもしれませんが、 この黒い領域から生きて脱出できる人はほとんどいないのだろうと思います。 夢を見ました。 この世のすべてのものが急速に腐敗し、 ヘドロのような見た目に姿を変える夢を。 人間もそうでないモノも等しく醜い色に変わり果てたのですが、 そのどれもが、生物と言えなくなる直前には、 まるで死に場所を見定めたような目をしていました。 あなたも私も所詮誰かの木偶の棒に過ぎません。 あの碌でもない奴らと一緒に死ぬより、 私は使命を果たして名誉ある最期を遂げたいとつくづく思うのです。 3つ目のタグが付与されるその時に、またお会いしましょう。 お前等の潜在意識が一体何なのか、必ず突き止めてやる。 【それでは、試験を開始します。最初に次の音声を聴き、設問に答えてください】 (ピコピコ音、その直後に#のDSC音源が放送される。)

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2024-12-18(ver.1470)

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