傘を握ったまま、 居た、一人の影が地に映っていた。 陽の光は沈んで暗く、 打ち付ける粒が地面に落ち砕けた。 路往く人は皆、 あまりに静かで 濡れた窓が光る夜、 迷い込んでしまった。 ここは年中雨が降る暗く沈んだ街 どれだけ、歩いて歩き続けても 見つからないのでした。 輪を描いて波は消え去り、 砂を固めては 劣を為していました、 手は解ける夜を混ぜて、 靴を脱ぎ棄てて、 誰も彼も、砕けていく 差し込む光も見得ないで。 何時かこの街はゆがんで、 歪み煤けて往く。 どれだけ歩き疲れてもまだ、 出口は見えないのでした。 ここは年中雨が降る暗くて廃れた街 どれだけ歩いて歩き続けても、 見つからないのでした。 それは歪んだ街の中、 出られぬ旅人よ! 滴る雫に己を負かせて、 ただ流されるしか無いの? 忘れ去られて往くのでしょう。