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今夜の闇とこの静けさに、 瞬く星に一つ願いを。 ただ夜も更けり明ばむ空に、 祈るあなたに一つ願いを。 もし願わくば遺恨も絶てず、 朝焼け色にこの声届け。 この夕焼けに架けるのならば、 想うわたしに二つ願いを。 端はまだ来なくとも、 模倣遍く憧れて、 恋えるあなたに縺れを。 真昼の夏と焦がれた故意に、 泣く蜩に一つ願いを。 ただ日が沈み暗がる空に、 咲くあの人に一つ願いを。 もし眠れずに寂しさの儘、 五つ願いを叶えるならば、 一つ願いが毀れるならば、 巡るあの日に七つ願いを。 故にまだ恐くとも、 希望得ぬ儘黄昏れて、 放えるあなたに結わいを。 もし消えた熄えたこの想いすら、 いま腐り艸り鎖り行くなら、 ただ願う。 ただ希う。 全てすくえる様に。 いま果てるは輝るこの願いすら、 この世界世廻世か意の涯に、 あなただけもし死ぬのなら。 全て結の所為です。 明くる想いとこの静けさに、 幽き問に一つ願いを。 ただ気を衒い白ばむ空に、 掃ける誇りに一つ願いを。 空回りする二つ呉たら、 東雲色にこの音届け。 この夕暮れに架けるのならば、 想うわたしに幾つ願いを? 既にただ足掻けども、 暁に喘ぐ声欠いて、 辷るわたしに虚う。 才能だとか見て呉れだとかもう、 気にせずに、 ただ好きだけを、 この声一つだけ届け。 ただ祈る祷るこの身一つで、 ただ喰らう暗う啖わん物を、 ただ恨む。 移ろい悔やむ。 統べるあなたの所為で。 もし消えた熄えたこの想いすら、 いま腐り艸り鎖り行くなら、 ただ願う。 ただ希う。 全てすくえる様に。 いま果てるは輝るこの願いすら、 この世界世廻世か意の涯に、 あなただけもし死ぬのなら。 全て縺れの鍵です。 今夜の闇とこの静けさに、 瞬く星に一つ願いを。 ただ夜も更けり明ばむ空に、 祈るこの糸結わいたままで。