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懐の硬い結び目が解けなくて、 鍵の付いた窓の向こう、見つめているその瞳を。 目を合わせ、どきりと高鳴る鼓動の音、 全てが暈けて視えなくなり、 心騒ぎを残した。 差し伸べた手を振りほどかれ、 痛くて藻掻いていた。 出来ることならずっとこのまま、 傍に居たいと願う。 ふわりと泣き崩れ、 甘い蜜を飲み干した。 ぷつりと痺れる音、 心を横切った愛しさを、 決して失くしてはいけません。 不確かな思考が絡まり解けなくて、 鍵を閉めた部屋の中、鏡写しが嫌になる。 耳につく、私を蔑む雨音達。 重い荷を一人抱えていた、 信じることが出来ずに。 紡いだ糸の正しさを、 誰にも頼れなくて。 それでいいよと言ったあなたが、 心に焼き付いていた。 手の中の温もり、 愛することとの出会い。 ガチャリと閊える声、 一握りの灯火(とき)を授かれど、 現実(じごく)に甘えてはいけません。 差し伸べた手を振りほどかれ、 痛くて藻掻いていた。 出来ることならずっとこのまま、 傍に居たいと願う。 ふわりと泣き崩れ、 甘い蜜を飲み干した。 ぷつりと痺れる音、 心を横切った愛しさと、 手の中の温もり、 愛することとの出会い。 ガチャリと閊える声、 一握りの灯火(とき)を授かって、 大切な[君](みれん)が出来ました。