: 19381
: 1377
誰も知る由もない異星の真ん中で、 物の怪の足跡をひとり手懐けていた、 知らなくてもいいと、 其処に屍が見えるのに、 磊隙で荒ぶ暈の様。 害は閾値に紛れ、呼吸を緩くして、 二度と疑念には手を届かせなくした。 狭い扉を拭わせて、 もう一度逢いたいのなら、 逃れるための術を身につけてからにしよう。 長い自叙伝を聞いたのは幽霊の星々、 懶惰に付け入り問い糺した様も、 羽の後ろで凭れて、 春を待たずに散ってゆくのに、 舟は行ってしまうのか。 無数の物語の端くれを掴み渡る者が、 褪せ果てた花畑で目蕩み、 (まだ春は来ないの、) ソラを巡る誘導灯に真実を希う、 (余白が足りないのなら、) 天地の魔法が解けるのを待つ、 気高い子供騙し。 継ぎ接ぎだらけの筏を流して、 八番目の臨界を祈るまで。 そう記されていた。 雨が蓋を遠ざける、 鼓動は舞い堕ちる。 有明の呼び声を、 衒学で覆った。 忘れもしないあの日から、 意味も無く背伸びをして、 永訣の慮触も知らず過ごす薫り雲。 時間が無いんだ。 載せられた甘い粒と共に、 ひどく虚構めいた夢を今でも見ている。 枯れた外様の系譜では、 理知の届くはずもなかったのに、 花模様はとうに薄らいで。 どうしても解けぬ結末に、 声を乗せた。 無数の物語の端くれを掴み渡る者が、 褪せ果てた花畑で目蕩み、 ソラを繋ぐ超越性は叡晰を振り切って、 懶な希望は付かず離れず、 罪障に踏み惑う。 誰が為に華を摘み取るのだろうか、 あなたはただ、 仮説に口を噤むだけで。 終演の紛い物が輪郭を蔑して、 流浪の者を攫って消えた。 ホメオスタシスが枷先の既知に抗う、 王座に臥せた駒は未だ動かず。 「法の師と尋ぬる道をしるべにて、 思はぬ山に踏み惑ふかな。」 忠告も聞かずに、 闇を手繰り寄せた、 同じ道、錦を飾る為。 数多の位牌の上に立っている。 また想起して、叢雲の海を渡る。 漂う諧謔の数列に歩みを見守られた、 ただの願いに留まらないんだ。 せめて、 夕闇に露が煌るまでには、 あなたを見つけると約束したのに。 誰かが見つけているとしたら? 誰かが隠しているとしたら? 書には、そう記されていた。