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それはとても滑らかに、 美しく映る水面を、 駆け回る様な仕草で、 掻き乱してきたのです。 彼は口にしました。 赤いネクローシスは、 突然湧き上がること。 明日はやって来ました。 わたしの次は、みんななのだと。 火に掛けたように狂う模倣。 明日のことを、今知るのなら、 あなたの責任です。 疑うことを、 あなたは辞められず。 疑いもせず、 全てを鵜呑みにする。 夜空を見ていた。 あの星の先には、 夢半ばにして、 死んだ模倣たちの墓場。 透明な時計に手を、 伸ばし少し掬ってみる。 誰の声も聞こえずに、 朽ち果てているのです。 宙に円を描くように、 疎らな赤い糸が、 解れホツレて、 指先の方に、 少しずつ絡まるのです。 居ない言葉、 直ぐに探し、 見えない言葉を見つける。 淡いはずの赤も皆、 全て、染め上げられる。 夢なのならば、 永久に目を覚まさず。 昔の記憶。 追憶とネクロフォビア。 浅葱の記憶。 別れの堅い言葉。 掬った物は、 全て金色の記憶です。