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巡る名のない土地を 残照がまだ目を傷つける どこか寝ていたいのに 街並みは続いていく 今は昔の静謐を 夜もすがら求めている 枯れたアネモネも 睡る小夜烏も 移ろう季節に飲み込まれて 霧と消える 夙に吹く風も 翳る朧月も 揺らぐ世界の中に溶けて 色を落としていく 巡る名のない星を 暗澹がまだ僕を見ている 消えてしまいたいのに 旅はまだ続いていく 雲隠れになった君を 夜もすがら探している 枯れた心も 嘔吐く浮寝鳥も 虚な目に映す現を 忍び生きている 可惜夜も何も いつかの令月も あなたの声も聞けないなら もうそこにはなくて