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蝕まれる記憶の、 厭世だけが輝いて、 割れた窓の外から、 見つめていたのでしょう。 蝕まれる記憶の、 喜懼する寂寥が泣いた、 灼けるその伝承を、 覗いていたのでしょう。 虐げたはずなのに、 私を置いて笑う。 何も出来ない悔しさを、 忘れたのですか? 独りでに妬み続ける、 自分自身を怨んで。 突き刺された此の世界の中、 私を殺して欲しくて。 憎むべきモノを憎んで、 笑える時に笑って。 遠ざかるあの夢を追いかけ、 惨憺として。 全てあなたの声です。 蝕まれる心の、 創造だけが淘汰され、 背を向ける人々に、 恨まれていたのでしょう。 蝕まれる心の、 不純物を眺めていた、 思慮に欠けた栄誉が、 蔓延っていたのでしょう。 人を殺したのに、 無意識に忘れられ、 何も出来ない恐さすら、 忘れたのだろう。 尽きる事のない光を、 次々と殺していく。 眩いほどの光を持てば、 虐げて良いのでしょうか? 希望は、もうありません。 独りでに妬み続ける、 自分自身を怨んで。 突き刺された此の世界の中、 私を殺して欲しくて。 憎むべきモノを憎まず、 死を望む私はもう、 沢山の壊れた目が、 窓から見つめるのか。