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窓の外にひとつ、輝き続けていた。 眩しい星の光に、 狂わされて飛び込むのを見た。 鐘の鳴るとき、誰かが居たのならば、 出会ったことのない感情に、気づくことは無いのでしょう。 道の先へ進む事も、為せないと悟った、 少女は、俯いていた。 少女は、泣くことも出来なかった。 形有るモノの価値だけ、守り続けていたなら。 繰り返しだけ、貫いていた。 抑揚の薄い声に導かれ、幾度やり直しても、 確かな事など無いのでしょう? 暗闇を照らすのは、一面の星空で、 抽象化された視界は、 ひとつひとつ、消えてゆく。 根を張るのは、首を絞める事だけで、 撲りつけてくるのかな、またあの時みたいにさ。 動かすことの出来ない身体を、燃やしてしまえば、 澱みは、滲んで消えていた。 澱みは、独りでに流れてた。 行く先も決まらず居て、差し伸べられた誓いも。 腐りきって逃げきれないの。 二度と戻れはしないと、知っていても、 唄い続ける事で。 似非者の踊り始める様を、 見ていた。 嗚呼、繕う仮面も果てに潮時で。 居なくなる事も容易く、 見逃してしまう。 白鳥の歌とするの? 形有るモノの価値だけ、守り続けていたなら。 繰り返しだけ、貫いていた。 抑揚の薄い声に導かれ、幾度やり直しても、 確かな事など無いのでしょう? 形有るモノの価値だけ、守り続けていたから。 失うことが心地よくて。 抑揚の薄い声は影になり、朽ち果てて仕舞うけど。 少女の声は消えていた。 輪郭だけを残していた。