: 1888
: 80
最果ての彼等の地に サボテンが一つありました それはまるで腫瘍の様 少し齧ったら 忽ちに苦味が襲ってきた 肉々しくありました 意識は別れ 虹に輝き 憑りゐらば隨に寝た 夕日が沈むかの様に 包む風の様に 直積的知覚を得ぬ それは安寧を描く 来る 狂う 歪みが! 時間的感覚を奪い 目の前が朝か夜か 識別はまだ成らぬ儘 身に染みた 縛りと枷 あれよあれよ 巡り巡る 六文銭を閉ざす迄に 目醒めを冀う 虚像とは呼ばれぬ様に 指先を這いずり回す 急々と削れる紋様の輪 存在を転がす 見えない儘見た振りした それはまるで 陽炎の様 煌めき未だ消えることはなく 両の眼 次第に濁りゆく 坩堝とは蠱毒に似た 快と嘆き 葬れど済まなく また次は現れて逝くのみ 来る 狂う 歪みが! 倫理的価値観を衒い ヒトに似た擬を生むと 金字塔とされるのだろう 恋に似たそのケガレが 薬か毒か判らぬから 取り敢えず焦がれとしておこう 粗茶をたゞ濁す 然もあらばあれとしよう 目閉じれど 変わりはないから 戦慄きか蝕むか知らずして 溶けてしまおうか 見えない儘見た振りした 過去の悔いは幽けき声 揺ら揺ら 自己 拡大縮小 術を持たぬ儘であるから。