: 607
黄昏の空を日記に遺す。 両足で少女は強く木箱を蹴る。 逢魔時の茜色と重なった、 彼女の髪飾りが燃えるようで。 紅色を巻いた手、 大きな口の、 道に浮かぶ闇が追ってきて、 絶望した表情で、 逃げまわっていたのです。 ぐさり、刺さる視線、 冷ややかな金属音、 ガチャンと鳴らす音、 鋏の音響くこの夜で、 呪いを唱えてはいけません。 宵の口離れ離れに歩く。 道の中血だまりから呼ぶ声がする、 機械から警鐘を鳴らしている、 深刻な様子で語るのでした。 奇妙な灰色の、 大きな闇が、 夜の帳から現れて、 沈黙した空間に、 圧力をかけたのです。 無表情な仮面、 袋を引きずった音、 ぬめりと伸ばす腕、 ナニカが蔓延ったこの深い、 夜を歩いてはいけません。 紅色を巻いた手、 大きな口の、 道に浮かぶ闇が追ってきて、 絶望した表情で、 逃げまわっていたのです。 ぐさり、刺さる視線、 冷ややかな金属音、 ガチャンと鳴らす音、 鋏の音響くこの夜で、 無表情な仮面、 袋を引きずった音、 ぬめりと伸ばす腕、 ナニカが蔓延ったこの深い、 夜を歩いてはいけません。