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揺れた黄金の葦 粉塵が覆う暮れの空 独り佇んでいた 智者は俯いて嘯いた 失くした俤 眼の奥に憑る翳 時が結く帰結を待つ 慟哭が聴こえていた! 虚妄が智を創る 振り翳す彼は赤子の様 傑物が慈悲を焼き払った 驕逸を孕んでいた 嫌悪が煮え返る 相容れぬ民は何処へ行く 染まる手は朱く滲んでいく 意味付けを手に入れる 愉悦がそこに在る 聾者をのさばらせ、弄する 不快な音を立て 終末が迫っていたのに 祝杯を交わす 気の知れぬ彼の身は 殺め、壊し、何を望む 奇怪さえ霞んでいた! 街は溶けていった 功利の欺瞞に惑わされ 因はヒトであったその名を 我々は知らずいる 不意に晴れ渡った 二つ目の日が目に焼きつく 愚弄されたなどつゆ知らず 滅びを嗤っていた 智者は目を伏せるか 遺された無辜の代物に 刃を入れ切り裂いたあの 血溜まりが底に在る 雨粒が滴る 荒んだ人為の理想郷 不幸の源泉に縋って 拘泥する 衒学者