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木漏れ日を浴びる事、 こんなにも心地好くて。 翠の風が吹き抜ける、 故郷が、 霞に浮かぶ。 懐かしさや、 愛おしさを、 感じた事はありますか。 ポタリ、ポタリ、沁みる約束、 枝垂桜の木の下。 水平線の端で、 咽び泣いたのは誰。 冷たい風が背後から、 後押しして、 紺碧に跳ぶ。 懐かしさや、 愛おしさを、 思い出す事、ありますか。 しとり、しとり、積もる言の葉、 枝垂桜の木の下。 御影石に苔が蒸して、 星霜を忘れたら、 常住坐臥で知らぬことは無かれ、 嘗ての儘。 御影石に苔が蒸して、 星霜を忘れたら、 常住坐臥で知らぬことは無かれ、 嘗ての儘。