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通り雨過ぐ夜更けに、 足枷の子が独り。 唇を噛締めては、目を瞑る。 黒い影は追い駆ける。 気が付けば、手が触れていた。 捕まって仕舞えば。 胸が徒を吸い込んで、 刺し殺されるでしょう。 解らず儘、手向けられた華を、 契っては破り。 音が聴こえたら逃げましょう、 既に手遅れですが。 全てわたしの時です。 嘘を、信じてみて。 夢現の夜明けに、 手枷の者が独り。 暗闇の眼を只、零しては、 輝く日を追い駆ける。 隠してた刃の先で、 切り刻んでしまう。 其れは。 首が恨み言を謳って、 呪い殺すのでしょう。 動けず儘、破れた置手紙を、 踏み躙り捨てた。 音を聴いたら諦めましょう。 既に死んでいるので。 全て誰の時でしょうか。 嘘を、 全て。 胸が徒を吸い込んで、 刺し殺されるでしょう。 解らず儘、手向けられた華を、 契っては破り。 音が聴こえたら逃げましょう、 既に手遅れですが。 全てわたしの時です。 嘘を、信じてみて。