: 213
: 6
忘れたはずなのに、 未だに覚えている、 望みを断ち切った言葉を。 思い出してしまうのは、 避けられないのか、 塞げば塞ぐほど、 嵩を増す。 限られた時の流れと、 消えていく思い出は、 昨日にでも 取り残されて、 実在しないものだった。 奥底で蝕んでゆく、 磨かれた水晶は、 意味を持てず されるが儘に、 焦燥となるのだった。 引き寄せたつもりでも、 そちらへ届くことなく。 手紙は人の波にのまれて。 失われた意味すらも 求められないのか。 在処を知れたなら、 是非を問う。 境界で左右を忘れ、 均衡を崩したら、 明日にでも 世界は割れて、 想定を超えるのだった。 逃れることを忘れて、 二人きり 描いたら、 存在を生み出すように、 反射光で照らしていく。 壊れた時計の針を、 穴が開いた 部屋の隅の隅で。 呑み込まれそうで 仕方がないから。 誰も知らない場所で どこにいたのか わからなくなってしまったけど 忘れ去られて しまいそうで ここまで来てしまったのなら。 過去は隠すことできずに、 背負い続けていく。 仕方がないと、 受け容れてみても、 針は何かを伝えているようで。 鍵のかかった箱を、 開けてみたのか。