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誰も知らない美しさを、 誰かに教えてあげたくなって、 何も知らない君のことを、 腕を引いて連れ出したんだ。 二人歩き夕焼けを見送った、 少しだけ大人になった気持ちでさ。 不意にあるはずのない永遠を望んでしまうほど、 君とずっとずっと、夜空を見上げていた。 手を繋いで星を眺めた夜の、 君の横顔が忘れられなくて。 光る彗星が私に瞬いたら、 直ぐに迎えに行くから、待ってて。 誰も知らない君のことを、 私だけにそっと教えてくれて、 何も知らない私を背に、 君はまだ一人でいたんだ。 その刹那に寂しさを覚えても、 満たされない心が回り続ける。 不意に君の言葉を思い出して泣いてしまうから、 これはきっと、 きっと恋だと気づいたんだ。 交わしたのはとりとめのない約束、 君へと向いた想いを許してよ。 浮かぶ彗星が何も言えないのなら、 少しは夢を見たって良いでしょう? 手を繋いで星を眺めた夜の、 君の横顔が忘れられなくて。 光る彗星が私に瞬いたら、 直ぐに走り出したんだ。 見失う前に。 手を掴んだ、月が照らした影を、 変わらないその笑顔を見つめていた。 光る彗星が約束の時を告げた、 願い続けた私の側で。