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両足を失った人形は、 譫言のように言葉を吐く。 一聞、無意味なその言葉に、 どんな意図があるのでしょう? 辛うじて残った双の腕で、 歪なモノを捏ね上げる。 一見、無意味なその塑像に、 どんな意味があるのでしょう? 歪められた三つの円は、 不要になり、 時を待たず。 誰も彼にも謗られて、 混沌となる。 不快な音の痕跡も、 爪を立てる音も、 その片方を感じる事さえ、 出来なくなる。 出来ずにいる。 見たいモノも見れず、 信じたいモノも信じれず、 祈る声は天へ届かずに、 静寂へ響く。 全てあの日の所為です。 抉られてしまった双の耳で、 此処にいないあなたの声を聴く、 幾分か楽にはなるものの、 また独りよがりを知る。 抉られてしまった双の耳で、 虚な言葉に耳を澄ます、 無意味な言葉なんて此の世に、 存在しないのです。 表となり裏となり、 虚偽に縋り、 獄に堕ちる。 憤る感情に支配され、 気がつけばもう、 ???? ただ訝しみ行方も知れず、 散り散りになるその因果は、 厄災に伴い逃げ出した、 非道なあなたにあるのか? 不快な音の奥の方、 見ず知らずの誰かが言う、 徒労の末に手にした誓いも、 偶像に過ぎないのだと。 見たいモノも見れず、 信じたいモノも信じれず、 沢山の腕が伸びて、 逃れられぬのか。