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此処には、居ないが。 あなたは。 此処から飛び立つ、 鴉は。 あなたの後ろに佇む、 影ごと消えたら、 私は溶け出す。 あなたは此処には居なくて、 砕けた片目が語るは、 あなたを忘れた 墓石は、 此方を振り向き、 飛び立つ、 必ず。 形だけの 束縛は 折れた両腕を、 逆さに落とした。 事象を焼き尽くしてく。 語る私は、 濁世に墜ち形骸化。 形を変えて、 音を濁す。 あなたの嘘とか、 悔やみが、 私を崩して、 何処かへ。 裏目に注いだガラスが、 足元掬って、 堕ちていく。いつかは。 ふやけた雨具も揺らいで、 浮世で軋んだ中身は、 霧中を抜ければ、 此処から、 逃げ出し引き摺る。 愁いと 吐き出す。 形持たぬ 触媒が 消える忌み名を、 脳裏に刻んだ。 寂寞に潰されて行く。 湯だる私は、 濁世に墜ち形骸化。 眼を濁し、 音を涸らす。 虚心に塗れ、 動く影が居て、 息を潜めている。 何時かは潰え、 這い蹲って、 死に至るのでしょう。