: 158
: 4
寂れた駅舎の中で 帰りの電車待ち 息を吸えば湿気た空気 雨に濡れた前の髪 やがて来るは上り線 照らされる雨の形 下り方は未だ来ず 小暗がりの中微睡み ふと目を開くと 霞みゆく電光板 夢か現か抗いきれずに 虚ろの中に 見 た も の 眠気は止まず 朧気な視界に 見ゆ 肘笠雨 踏切の音 目を塞ぎ頭を そっと下げました 雨に打たれ靴は濡れ 到着のベルが鳴り 瞼裏に光見る 疾うに乾いた前の髪 何気なく聞き耳立て 届いた線路の音 「もうすぐ到着します」 液のアナウンスが語る ふと口を開くと 鉄の味がしました 夢か現か抗い続けて 虚ろの中に 目覚める 眠気は過ぎて 明瞭な視界に 見ゆ 俄か雨 ブレーキの音 立ち眩み ふらつき そっと歩いた 発つベルが鳴る 窓の陰る世界を 見た 通り雨 過ぎ去る景色 揺れる中頭を そっと下げました