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色違いの領域で、歌い続けていた。 鐶で繋がれた仔犬が、 藻搔き苦しむのを見た。 傍若の岩が、俯くのならば。 無情にもソレはあなたを阻むのだろうか? 立ち上がり、歩き出した、 直向きにすら為らで、 破落戸が、幽閉されていた。 破落戸は、涙を流した。 境目の決まった侭、疑念だけが解けずに。 シェルターの外側を夢見ていた。 華奢な由縁の理で、描いた虹の枝が。 唯一の存在となるのでしょう。 人違いの櫻と、凍らずの営み。 あなたの既知は憐憫で、 失望の貌を融かす。 珊瑚礁の欠片、握るのならば。 悲愴と共に骸を崩すのだろうか? 手と眼、足と骨が、 殖えた侭震えていて。 果たせなかった、約束を。 果たせなかった、何もかも。 どうか許しておくれ、叫び声を上げたの。 窓枠の梟は微笑んでいた。 徒らに駆り立てた、幻聴の穂先でさえ。 除け者が吐き捨てた言葉は、 弔いの言葉。 未だ、破綻は免れていますが。 過去が見えないのは嫌いだ、 やり残したことがあるんだ。 幺き鳶を殺した。 境目の決まった侭、疑念だけが解けずに。 シェルターの外側を夢見ていた。 華奢な所以の理で、描いた虹の枝が。 唯一の存在となるのでしょう。 境目の決まった侭、疑念と諦観とが。 やがて名付けられ天高く昇る。 華奢な気高き塔が、虹を指し示している。 破落戸は、光を得た。 果たせはしない、何もかも。