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いつの事か忘れたけど、 空が全部黒くなった。 街は闇路だけになって、 ただ黒に染まった。 三十日の夜空月が出て、 見渡すと辺りは紅に染まる。 異常な程に惹かれ、 僕は空を 見たまま 星がよく見える日には 胸騒ぎがしたよ。 幸せの祈りは、 虚空に溶けました。 あの日のことは覚えてる。 星が空に堕ちたんだ。 その星は朝に光る。 何処かで見た紅に。 本で詳しく調べたら、 この星を持つ者は死に至る。 惨憺たるわたしの命は、 三十日に 犇めいた。 冬の海に浮かぶ、 ひどく心地よい場所で、 三度目の綻び、 星がよく見える日には 胸騒ぎがしたよ。 三度目の綻び、 虚空に溶けました。 星がよく見える日には 胸騒ぎがしたよ。 漏れ出た紅いモノ、 虚空に溶けました。