: 4450
夜明け、窓の外、 篝火に投げ入れた絵本の中、 心地よい音に誘われた犇めく愚者が、 堕ちゆく。 雨降る街、 その姿誰にも見せることなく、 彼は誰時の月が沈まぬ事を、 ただ願っていた。 写し鏡を手に何思う? それは「小人閑居して不善をなす」と。 あなたは、理解りますか、 靡かぬ夕風を。 どれほど、繋げど、 忘れど、無意味に。 あなたは、知り得ますか、 暗澹の憂鬱を。 どれほど、脅えど、 恐れど、溺れてゆく。 薄暮、檻の中、 現実と交差する御伽噺、 幻覚に惑わされ未知の摩天楼へと、 消えてゆく。 狂える街、 壊されたモノは元には戻らず、 走馬灯見えた時はもう既に遅し、 死ぬのでしょう。 錆びた偶像が寝言を吐く、 「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」と。 あなたは、 理解りますか、 無常の優雅さを。 どれほど、 世をは儚めども、 溶けゆく。 あなたは、 知り得ますか、 泡沫の幽玄を。 どれほど、認めど、 全て、夢の様で。 幾度となく揺り籠を揺らし、 邯鄲の歩みとなってゆく、 鵜の鳴き声を聞いたのならば、 和集合は斯く語りき。 あなたは、理解りますか、 靡かぬ夕風を。 どれほど、繋げど、 忘れど、無意味に。 あなたは、知り得ますか、 暗澹の憂鬱を。 どれほど、脅えど、 恐れど、溺れてゆく。 あなたは、理解りますか、 無常の優雅さを。 どれほど、世をは儚めども、 溶けゆく。 あなたは、知り得ますか、 泡沫の幽玄を。 どれほど、認めど、 全て、夢の様で。