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小舟は緩やかなコースを 揺蕩うようにぐらりと鳴いている 今年もしるしに来たんだ あさあけに澄んだ海に 血が流れ時が止まっていた 記憶のノートへと溺れ 思い出を紡いで持っていた 一つ目のページからあふれ 水面へと光って散っていった ほころびのないばしょに また僕は泣いていた 小舟は艶やかなルートを 眺めるようにそろりと浮いている 魔法のひとときのようだ もう一度澄んだ海に 身が剥がれ しかし掴んでいた 記録のノートからあぶれ 思い出を繋いで持っていた 二つ目のページからこぼれ 水面へと光って散って行った しがらみのないばしょに 思い出を運んで持っていた 右手のページへとつづく 水面へと腕が沈んでいった ほころびのないばしょに また僕は泣いていた