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御手洗の水の奥に、 棲む小さな羽根、 顔を背けながら、 赤らめる頬。 感じたのか、 考えたのか、 其処に居るのか、 此処に来るのか。 ぬらりと萌ゆその我侭が、 彼女の顔を耀かすのか。 オパールの羽の下、 伸ばす小さな指、 羽を瞬かせながら、 散ってゆく花。 見つけたのか、 手を振ったのか、 其処で呼ぶのか、 此処へ寄るのか。 くらると揺るその歌意のみが、 私の羽も艶めかすのか。 注ぎ忘れたその命は、 貌を出すアベジェの様、 鷺が目もくれず居座るのは、 その芽の愛しさ故。 注ぎ足したその水面から、 揺らめく小さな腕、 こちらへおいでと誘う様に、 頬に触れた両腕。