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目に見えていた、 森と街の中。 住家をなくした、 彼の手跡。 手を合わせていた、 波と渦の中。 夏の夜に消えた独り言。 青空広がるこの大地に、 見つけた近未来。 真っ二つになった狭間の中で、 始まる御伽噺。 自然の中で歩き走りと、 彷徨い続けていた。 只管ただ歩いた先には、 何が見えるのだろう。 森の中駆け抜けて、 辿り着き見た街並みが、 何処かで呼んでいる気がしたんだ。 身体が動き出す。 目に見えてきた、 建物の間。 誰かの影をも忘れ去られ。 咲き煌めいた。 芽生えた記憶が、 何処かで鳴いていた。 嗚呼。 歩いた精神世界の中、 惑う心の底。 足跡の先、脳裏の中に、 誰かがいるみたいで。 招く様に聞こえる人影が、 身体を引き寄せる。 架空の看板の中、 冴えた音が聞こえてくる。 すると目を隠されて、 突如消されてしまう様に、 いつの間にか飛ばされてしまった。 見飽きていた薄日。 手を差し伸べた。 獣道の中。 迷宮を駆け抜け辿り着いた。 手を差し出した。 まだ続いていた。 再び現れた街並み。 幻想が緩み、 視界が掠れる。 あの景色脳裏に焼き付けて。 みんなさよなら。 また逢える日まで。 そう想いながら目を閉じた。