月桼(ひざ)
pessimism | ||
原っぱのどこかに 落ちてた手を振った 濡れた影法師の向こう側 すっと消えたマグノリア 空っぽの目玉は 天動説を説いていた 煮えたハムに藍を飾って そっと笑うのでした 質量保存を避けて 湾岸沿いをなぞる 万有引力は 分解の邪魔をするので 紐で固く縛りました 原っぱのどこかに 落ちてた手を振った 濡れた影法師の向こう側 すっと消えたマグノリア 片っぽの目玉は 既に溶けてました 熟れた桃にワインをかけて そっと飲み込みました カリウムのように ただ従順に 土に食べられました |
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今日は することが ひとつもないので 外へ出てみました すると 古い人形がいました 背中の方に 錆びついた ネジがあったので 試しにちょっと 回したら 頭が落っこちました めぐる ブリキの中を およぐ 熱を帯びては からむ 歯車に その命を吹き込み ねむる 頭の中は 点滅 座標平面 反転 涙は 空にこぼれました アナクロの 抜け穴から 風を辿ってまざる 112×48の 解はまだ 求めてますか 冷たい傷は 剥がれ落ち 人間の肺へと刺さる 融けた 羅針盤に 手を添えて その日を 待ちました ナアクカホキシウノクカ ツメンセキシウノンセ ウモハイカノキシンサイケノコ タイテデニクット 冷たい人は 剥がれ落ち 土の糧へとかわる とけた 羅針盤の 指す末は その日を待ちました |