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しとしと、
降る雨が織りなす水面の万華鏡。
一つ、一つ、
雫、
一輪の花を咲かして。
微かに甘い香りは空を漂い、
あなたの行く末を示すでしょう。
邂逅の結末を、
映す液晶。
目を合わせ、
手を振った。
目を合わせ、
「離れないで」――。
時計の針は差し、決別の時刻を。
轟く夜行列車が、私を残した。
降り頻る雨に打たれて、
さようならを告げた夜の、
想いは遠くに葬ってしまうでしょう。
行く水の水沫のよう、
遷る人の世。
すれ違い、
足跡が、
すれ違う、
人影は去り、
最終列車が、終点に止まった。
煌めく蛍光灯の、
夜を知らぬ街。
降る雨は未だ止まぬ侭、
降りた駅に辿り着いて、
燻る想いを蘇らせてしまうのでしょうか。
再会は果たせない様で。
忘れないでいてください。
また会えるでしょう。
滝川のわれる末は。
(時計の針は差し、)
時計の針は差し、訣別の時刻を。
轟く夜行列車が、私を残して。
降り頻る雨に打たれて、
さようならを告げたあの日、
想いを叶えるように仕舞うでしょう。
いつしか雨は止み、虹は円を描いた。
ゆらめく葉の如くは、空蝉の定め。
邂逅は、訣別となり、
片隅に朽ちた花は、
何も語りもせずに。
いつかまた逢う日まで。 |