佐藤 乃子
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数年前の事でした それは 雨と共に 消えました ウミヘビは 居ないようです ツチノコも 見当たらない 泡沫を覗き込むが そこは もう 二つが繋がる 道でした 忘れないように 書き留めた。 けれど 蓋を開けたら 消えていた 溶けた臭いが まだ残って 誰の所為でも ありません 溶けた臭いが まだ残って 誰もここには 来れないように 消した ウミヘビは 忘れられた ツチノコも 居ないらしい 立てられた パイロンが 増えている 意味などない 意義などないと 廃れない様に 繋ぎとめた けれど 手をだしたら 焼き切れた 焦げた臭いが 残るほどに 嫌な夢を見てました 焦げた指だけ 残りました 嫌な気分に なりました 焦げた臭いが まだ残って 誰の所為でも ありません 焦げた臭いは 残しました 二度とここに 人が 来ないように |
暃 | 839 | |
15769 | いつもの帰り道に 一つ段ボールがありました 気になって覗き込むと 弱った蚕が泣いてました なぜか 懐かれてしまったので 仕方がないので 持ち帰りました 次の日起きたら 泣いていた 拾ってきた蚕が 飛んだ。 長い夢を見ていた。 拾ってきた蚕が 飛んだ。 突然、首を切った。 いつもの帰り道に 一つ段ボールがありました 気になって覗き込むと 弱った蚕が泣いてました なぜか 懐かしく感じました 仕方がないので 燃やして捨てました 次の日起きることは無かった いたずらに書いた、その唄は 始まりの 拾ってきた蚕が 飛んだ。 長い夢を見ていた。 拾ってきた蚕が 飛んだ。 全て、私の 暃 です |
壽 | 305 | |
6141 | 玉響に歌う走馬灯 千歳の呪いに踊るだろう 音に踏まれ 消えました 騒げや騒げ 無形の何か 嗚呼 潰れた 頭蓋骨 歌えや歌え 醒めるまで 呼び鈴が 鳴るまで 待っていた 後ろの正面 誰? 誰もそこには 居ないけれど 誰かがこちらを 覗いてる 話の終わりは 知っている 蒙昧な狐が 踊りだすんだ 鳥居を潜って 逃げ出した 幽玄な夢を見てた 誰も潜っては いけない 狂えや狂え 似ている何か 嗚呼 溺れた 下半身 殴れや殴れ 消えるまで 呼び鈴に出ないから ちょん切った 後ろの正面 XXXX? 誰もそこには 居ないけれど 誰かがこちらへ 誘いこむ 誰にも見えていない 踊るカナヘビ達 一度入ったら 戻れない 君を待ってたよ 話の終わりは 知っている 遊芸な狐が 踊りだすんだ 後ろを向かずに 走り出した 幽玄な夢を見てた |
丗 | 417 | |
7360 | 思ひ出 閉じ込めて 揺蕩う 影を一人追いかける 昨日見た夢の続きは 誰も教えてはくれない あの日描いた青空から 淡い過去が消えていく 転んだ意味も 後戻りも 白い息と混ざって 灰と成る 杞憂に終わる世界なら きっと まだ 続いてただろう 明日見る夢の終わりは 誰にも教えてはいけない あの日描いたはずの空は 黒い影に包まれ 翳んだ文字も あの景色も 何もかも忘れられて 灰と成る |
◇ | 461 | |
8680 | 悴んだ指でなぞる 遺骨を燃やし 毒を飲んだ 鯨謳う丑三つ時 誰何される何を問うの? 類は手で切り刻んだ 中身がはみ出している 感化された風を食む陽炎が ぐるりと此方を覗く (黄泉へ続く道を)類歌が騒ぐ (駆け抜けてみたいと 思いました)涙を溶かす (それは) 永遠に続く部屋の奥から おかえりと鴉が囁いた もない も居ない なにを見つめているの? (奥の部屋に続く)冥路は続く (潰して砕いて 飲み込むのだ)脳が溶けていく (奥の部屋に続く)冥路は続く (潰して砕いて 飲み込むのだ)脳が溶けていく (それは) 永遠に続く部屋の奥から あそぼうと奇怪に手招いた もない も居ない なにを見つめているの? |