くびれ音楽
ねじれた街 | 62 | |
962 | 教室に並んだ 模型の虫が飛び回る 忘れ物も忘れ 空を見ずに飛び出した いつの間にか 暗くなって 足が見えなくなる つまずき倒れて 見ると 入口に着いた 戻れないと知っていた筈が 既に中に入っていた ねじれに巻き込まれ 繰り返した ねじれが巻き込んで 繰り返している |
赤い通りに人はいなかったんですね | 86 | |
982 | 何も無くて揺らめいている 私はどこかへ消えてしまう そんな浮つきは夢を呼ぶ 足を踏み入れた どうしようもなく彷徨って 見知らぬ土地に 愛着が湧いて 全て捨ててここに逃げた 間違うことに罪は無いけど 傲慢な私は落ちる 臭く濁る空気が包む 赤い光が目を貫き 四肢をもがれても死ねずに 違う意識で呼吸をする 臭く濁る空気が包む 赤い光が目を貫き 四肢をもがれても死ねずに 違う意識で呼吸をする |
酒 | 34 | |
862 | かき分けたボトルの ラベルを剥がして繰り返す 空の店内には 埃だけが溜まり続ける 四角の溝に流し捨て 油と混ざる 地下水の酔いが醒め始め また人を望む 街の酒場には 死体が落ちている 縫い付けた糸が肉を 引き千切り裂けて 晴れた |
鯰は空へ飛び出した | 102 | |
1696 | 五月蠅い地面を 泳ぐ深海魚 押し寄せる熱は 全てを奪う 荒れた電波を 流した情景は 瞬きに崩れて 瓦礫の酸素は尽きる 目覚めた 悪夢が 絶望を呼ぶ 終焉の地鳴りが響く 鯰は空へ飛び出した 破れた地面の中は 鯰の死骸で満ちていた 空を照らす火が 人を狂わせる 静けさは街の 惨状を指す 衝撃は未だ 心を離さずに 情報の乱れは 玉の在処さえ隠す 飛び出た 悪夢は 深海を見る (押し寄せる終焉が咲き) (鯰は街を泳いでいる) (無人の海の底には) (鯰の死骸が残っている) 終焉の地鳴りが響く 鯰は空へ飛び出した 破れた地面の中は 鯰の死骸で満ちていた 押し寄せる終焉が咲き 鯰は街を泳いでいる 無人の海の底には 鯰の死骸が残っている |
箱の切り株 | 18 | |
324 | 始まりはどこだろう 気づけばここにいた やり直すとしたら 題名から書き直す これが世界なら 私がいないまま 床に寝転んだ 殴打の痛み 足を取られてただ見渡した 水たまりに浮かぶ暗闇 出られそうもないこの円状で叫ぶ 「どうして?」 痛みのない体が揺れる 断片が事実を述べて 短い生活に安堵する 訳も分からぬまま |