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誰もいないはずのこの場所で、 誰かが見つめていると思い込む。 誰もいない事をもう知っているのに、 誰のことを見つめているの? 鄙びた町にはよならを告げて、 嵩む逡巡にはけりを付けて、 またこの場所に戻れること信じて、 永い永い眠りにつく。 二度と戻れない記憶の隅で微笑う。 夕焼けを背に君の声がこだまする。 帰りの道を見失わぬ様に。 暗くなって見上げればほうき星煌めく。 明日の空が僕らを照り映やした。 鄙びた町にさよならを告げて、 嵩む逡巡にはけりを付けて、 滅んで消える故郷の夢を見たら、 その場所を訪ねてみる。 懐かしい影、何も見当たらず。 もう一度だけ君の声を反芻する。 帰りの道が何処にも無くても、 暗くなって見上げればあの笑顔耀く。 きっとどこか遠くにいる… 夕焼けを背に僕の声がこだまする。 これからの道、見つかります様に。 駆け巡っていた想いが大空を羽撃く。 あの日の空が僕を照り映やしている。