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路辺に落ちていた、 手鏡を一つ手に取ったら、 掌から滑ってしまい、 指先が切れました。 地面から拾い上げ、 鏡を少し剥がしてみたら、 分けもなく目が見えなくなり、 意味が失くなってしまったのです。 消えた赤色の空の下、 今更伝えたい言葉もない、 終いも見えない高架下、 逃げて泣いていました。 溢れた甘い水を、 ひとくち嚥下し吐き出したら、 空っぽだったはずの器、 蝕まれ罅割れた。 鏡の破片たちが、 見れば見るほど恐ろしいので、 その場から立ち去ろうとして、 聞くことが出来なくなったのです。 終いも見えない高架下、 今更伝えたい言葉もない、 消えた赤色の空の下、 全て不可知な所為です。 消えた赤色の空の下、 今更伝えたい言葉もない、 終いも見えない高架下、 逃げて泣いても仕方無いね。 終いも見えない高架下、 今更伝えたい言葉もない、 消えた赤色の空の下、 全て▇▇▇な所為です。 沢山の幻覚が、 こちらを見つめている。