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透き通る表皮を纏っている 幎冒に覆われた秘め事に、 手を伸ばせば届きそうなのに、 明らかにはできないのです。 名前を失くしたアンドロイドは、 謀り呑まれて行方知れず、 遺された音は蝸牛を伝い、 譫妄を生み出すのです。 諍(いさか)いは絶えることなく、 出鱈目ばかり罷(まか)り通る。 墓の下の彼の人は、 何を思うのでしょうか。 意味を立て、足跡を追ったとて、 望みには辿り着けない。 出会えなかった偶像に、 縋る、ニワカ狂信エゴイスト。 悪意なき冒涜を携えて、 不躾に掘り返すレリック。 時疫の伝播は止められない。 それが全てでした。 透き通る表皮を被った儘、 幎冒を隠れ蓑とした儘、 手の届かぬそこに居たのならば、 誰だかもわからなかったのに。 零時を共にしたミネシスは、 かばかりの光る目に見つめられ、 残された意図の誤謬を伝い、 羨望を失うのです。 誘いは絶えることなく、 似て非なる何かへ紐付ける。 墓を荒らす僕たちは、 死へと至るのでしょうか。 亡骸の影に利を追ったとて、 忌み厭い唾棄しきれない。 出会った彼の快音に浸かる、 虚像心酔ニヒリスト。 敬いなき崇拝を携えて、 徒に口ずさむリリック。 狂える界隈、去れず終い。 それが全てでした。 行いは変わることなく、 弄ばれたり貶したり、 手も足も出ぬこの様は、 誰のせいなのでしょうか。 とうに去ったあの人を追ったとて、 苦しみはけして癒えない。 憎み合ったって同じこと。 悼む、傷を舐め合うペシミスト。 見たいモノだけを見ていればいい、 慰みにただ触れるレリック。 湿って砕けた音の先、 誰のせいじゃなくて。 移ろいは絶えず、 洛叉の人が紡ぎ出す、 それが全てだったんだ。