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携帯ゲームが手の中を、 スルリと抜けていって、 恨みを孕んだ心すら、 感じなくなりそうで。 狂い出し、 骨を折り、 軀を裂いてみたが、 皓々と照らされたモノに、 悔悟の想いは無く。 悶え苦しみ喘ぐものの、 誰も見向きはせずに、 徒労に帰して終うのは、 私にも解らないのです。 繋がる偶数の数字と、 伺う無数の鷺。 幻想を味わう者程、 心が腐って居る。 穿つ程、 浮かぶモノ。 鴉の鳴き声聞き。 夕暮れに鳴り出すチャイムの、 居場所を探し出して。 悶え苦しみ喘ぐものの、 誰も見向きはせずに、 徒労に帰して終うのは、 私は幻なのだから。