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はじまりはいつも遠くして、 まだかまだかと待てど、 謂れの無い馗(みち)へと、 また、歩き出す。 はじまりのうたが鳴り止んで。 一人法師(ぼっち)の𪜌(このごろ)。 出任せに气(いき)をして、 固く結んだ。 影ばかりが、 冎(えぐ)る様に 取り憑いた魚は、 水を得ぬ儘乾涸びた。 恠鳥(ぬえ)の鳴く夜が降りて、 貴方は泣くのでしょう。 消えない悪寒(おかん)が纏い、 あれれ、何処に消えたの? 恠鳥の鳴く夜は更けて、 貴方へと捧ぐ。 未だに消えない様で、 帰れなくなっていた。 はじまりは唐突に。 手を繋ぐ僕たちは、 痛みが解らなくて、 もう手遅れで。 竛𫞻乒乓(しどろもどろ)の喉で、 無言の言葉を吐く。 幸せを知らないから、 幸せに成れなかった。 鹼の河で、 泳いでいた。 幽霊に憑かれて、 曲の終わりが始まった。 恠鳥の鳴く夜に呑まれ、 見えなく成った儘、 方向すら儘ならず、 軈て、死に至るでしょう。 恠鳥の鳴く夜が明けて、 次第に眠くなる。 汽(ゆげ)の立ち上る様に、 視界から消えてった。 但し、決して戻らないで。 …今更言っても遅かったよ。 恠鳥の鳴く夜が降りて、 貴方は泣くのでしょう。 消えない悪寒(おかん)が纏い、 あれれ、何処に消えたの? 恠鳥の鳴く夜は更けて、 貴方へと捧ぐ。 未だに消えない様で、 帰れなくなっていた。 恠鳥の鳴く夜は過ぎて、 貴方は夢の中。