: 8638

何も見えないその目で、 何を見つけるのですか？ 陽ざしすらも、 届かぬこの世界で。 何も為せないその体で何を終えるのでしょう？ 五悪に侵された足跡さえも。 白鳥達が羽ばたいて、 影を落とす。 獄の中　死ぬ夢を見た、 夜が廻りマボロシと為る街で、 踊る字の歌は此処には無いよ。 寒空に火を灯した。 辿り着く先は、 黒塗りの川と木の筏。 嘆く様が、 酷く醜く見えた。 そして、愛と憾みが 混ざり合って溶けてゆく。 不快な音に、 声も出せずに終わる。 四肢も心も 捨てられず 彷徨っていた様。 孔から差し込む光すら、 闇に隠れて何も見えなくなる。 歪んだ形に気付く頃には、 永劫の時も彼方。 掠れてゆく引力に 引き離されてく身体は、 紛い物の様に腐り落ちて 乖離して仕舞うなら 喉を枯らし叫べ、 全てあなたの所為だ。 獄の中　死ぬ夢を見た、 夜が廻りマボロシと為る街で、 踊る字の歌は此処には無いよ。 寒空に火を灯した。 蹶然と走るあなた達へ。 想いは全て託しているから…… 後悔の羽を羽ばたいて！