空に浮かぶ両の目は、 打ち水の如く儚く、 繰り返し塞いで尚、 脆く、溢れてしまうのです。 空に浮かぶ両の目は、 木漏れ日を知らぬと言うが、 放浪続けたが故、 嘘に塗れてしまうのです。 影の無い電柱の 針が指示した時刻を、 一途な鴎が 突き刺すのでした。 無様な姿を晒し、 泡沫に沈む。 液状化したヒトの噂は、 ひどく心地良いモノでした。 霧の美醜に見惚れて、 宵をも忘れる。 項垂れた時は既に遅し、 死が迫るでしょう。 全て木霊の所為です。 空に浮かぶ両の手は、 自ら意思を持ち始め、 過ぎ去った時の流れも、 認知出来ぬ儘でいました。 空に浮かぶ両の手は、 モノに触れることは出来ず、 朧げに視える声が、 黒と白を混ぜるのでした。 崩れては列を成し、 再生を繰り返すそれが、 醜く語りかけて 来るのでした。 無価値な物に執着しては、 それが正しいと思い込み、 誘惑から意思を守ように、 自ら杭を打ち込むのでした。 無様な姿を晒し、 泡沫に沈む。 液状化したヒトの噂は、 ひどく心地良いモノでした。 霧の美醜に見惚れて、 宵をも忘れる。 霞んでいく歌の声が、 聞こえるのだろうか。