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両の腕を外されて、 持ち上げることは出来ず、 何も掴めぬこの身体では、 成す術も無いのでした。 両の脚を外されて、 立ち上がることは出来ず、 その場所から動けなくなり、 只朽ちていくのでした。 行き場を無くした亡霊が、 見て呉れの希望を吊り下げ、 心を無くした屍が、 こちらを覗き込むのです。 不愉快な音を鳴らして、 不都合に騒ぎ立てる。 顕在化した心地悪さに、 誰も抗えやしないのです。 見える筈のモノも見えず、 信じることも出来ずに、 気が付いた時には既に遅し、 死を悟るでしょう。 全てあなたの無為です。