全てが水の泡。
冷夏 | 27 | |
合作 | 371 | 開かず、緑の冬は。 蛍、夢物語。 こちら、見つめる影は。 何を求めているのか。 明くる、緑の冬も。 只の、冬と変わらない。 あちら、見つめる影は。 何処へ行きたいのだろう。 腐草蛍となって、 終いには緒が切れて、 燃ゆる火を臨み立っていた、 あの日の理想像は、 見る影も無くなって、 今じゃもう忘れた。 嫌だもういっそのこと、 全て消えてしまえば。 黄昏て考えてた、 涼しい夏の詩。 続く、緑の冬は。 皐月、鈴風吹いて。 こちら、向かいし影は。 何を覚えているのか。 終わる、緑の冬も。 白雨、余りに白くて。 あちら、向かいし影は。 何を忘れたのだろう。 無物草は枯れ、 備前海月が浮いた、 燃ゆる火を臨み立っていた、 あの日の理想像は、 見る影も無くなって、 今じゃもう忘れた。 嫌だもういっそのこと、 全て消えてしまえば。 黄昏て考えてた、 涼しい夏の詩。 |
メモワール[short] | 22 | |
合作 | 268 | 小さな裂け目の中、 酸素が薄くなり、 何時割れた鏡、 空蝉の如く。 一つの枯れた葉っぱと、 二粒のタツノオトシゴ、 夙に願ったいつかの、 三日月に。 紡いだ記憶の遥か彼方、 ふと見上げた空は瑠璃色で、 染み渡る鈍痛が、 全て融かして往きました。 紡いだ記憶の遥か彼方、 ふと見上げた空は瑠璃色で、 染み渡る鈍痛が、 全て融かして往きました。 |