オドリ
てせうす | 20530 | |
合作 | 510461 | ゆらゆらと、崩される禊の航路。 船酔いは、未だ慣れずに進む。 鉄塔の立つ町の麓に、海が現れた。 「ほら、ほら見て、あの場所を――。」 くじらはないていた。 くじらがないていた。 「ないたりゆうがわからない」と、 みんな、わらっていた。 踏み台に、乗せられた数々の音。 船酔いが、治まる頃に止まる。 鼈甲の裏に彫られていた、二つの記号で、 「ほら、ほら見て、この場所が――。」 くじらのなきごえは、 くじらのなきごえが、 「ぼくらをとおくへつれてく」と、 みんな、おびえていた。 ラララ、ララララララ、 この場所が――。 くじらはたべられた、 くじらがたべられた。 たべたひとのみにはながさき、 くじらはよろこんだ。 くじらをよんだから、 くじらとよんだから。 あなたのことをゆるしません。/くみかわるふねのほをたべて、 くじらはほほえんだ。 |