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六尺下から、這いずり上がろうとしてみた。 だけれど土は重く、抜け出せなかった。 三寸舌では、五尺の躰を滅ぼすと。 災いを招く声帯は、取り除いた方が良いでしょう。 刻々と叫ぶ秒針に、 気が狂いそうになって。 怖気づいてしまっているんだ、 弔鐘の幽寂に。 この声が今聞こえるのなら、 どうか返事をして。 そう私は、 死体に 話しかけた。 死体は、 耳を塞いで、 口を噤んだ。
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六尺下から、這いずり上がろうとしてみた。 だけれど土は重く、抜け出せなかった。 三寸舌では、五尺の躰を滅ぼすと。 災いを招く声帯は、取り除いた方が良いでしょう。 刻々と叫ぶ秒針に、 気が狂いそうになって。 怖気づいてしまっているんだ、 弔鐘の幽寂に。 この声が今聞こえるのなら、 どうか返事をして。 そう私は、 死体に 話しかけた。 死体は、 耳を塞いで、 口を噤んだ。