全て奏音の所為です。
鳴 | 52 | |
1107 | 差し込んだFの音、 手で掴んで鳴らす。 階段飛ばしで韻を踏む、 セイレーンの先に見えたのは? 静謐のコーダの往く先で、 鳴り止まぬ協和音。 頭蓋の中の鼓が謳う、 哀した訣別の詩。 塗り替えたピチカート、 自我意識を渡河し、 泣き顔濡らした雨宿り、 蟠りを又唄いだす。 頭蓋の中の鼓が謳う、 鳴り止まぬ協和音。 静謐のコーダの往く先は、 全て奏音の所為です。 |
符 | 68 | |
1236 | 朝焼けに浮かぶ灯籠が、 幾千の記憶を運ぶ。 未だ貴方が唄うのは何故? 意味などなく。 波打ち、 伏し、 影は衒い、 死に、偽弁を噛む。 明日を憂慮し、 向こう岸に咲いた睡蓮が、 貴方に花を咲かす、 その刻まではまだ。 もう一度、貴方から、 離れられなくなりました。 全て奏音の所為です。 朝焼けに浮かぶ灯籠が、 |
曲 | 74 | |
1130 | ちらついた嬰の音で、 暗闇に沿うピアニシモ、 迷いを描いた協和音が、 次の道を指し示す。 繋いだ手の幻影を、 温もりを信じて、 止まないのです。 癒えないのです。 沈んだ音はトレモロの様でした。 いつか結いたアルペジオが、 無い見栄を歌う。 終わらない夢を象る、 水面の底、 後ろを嘆くのです。 祈りは既に遠く響き、 シーミレが集う。 孤独感に苛まれて、 その涙を啜るでしょう。 全て奏音の所為です。 |
LayEr | 180 | |
2584 | 赤色の空 暮れ沈む街、 二人歩き口遊んだ歌。 別れ道で手を振るあなたへ、 「また明日も会いたいな。」 回想に浸っても叶わない、 あなたの姿には届かない。 思い出はまだ この手の中、 今だけは永遠を信じさせて…。 嗚呼、忘れないでいたくて。 嗚呼、思い出したくなくても、 脳裏に焼き付いてしまうよ、 焦げ付いた砂糖が。 誰も来ない朝焼けと歩き出す、 全て奏音の所為です。 |
LayEr[sustain] | 105 | |
1647 | 赤色の空 暮れ沈む街、 二人歩き口遊んだ歌。 別れ道で手を振るあなたへ、 「また明日も会いたいな。」 回想に浸っても叶わない、 あなたの姿には届かない。 思い出はまだ この手の中、 今だけは永遠を信じさせて…。 嗚呼、忘れないでいたくて。 嗚呼、思い出したくなくても、 脳裏に焼き付いてしまうよ、 焦げ付いた砂糖が。 藍色の海を眺める影、 握ったほのかに温かい手。 重なる想いを線で結ぶ、 「もう少しだけいようか。」 失って初めて気付くほど、 あなたの姿を望んでいた。 愛しさはまだ 心の中、 望めないと思いたくなくて……。 嗚呼、私が見えてますか。 嗚呼、見えるはずなどないのに。 そんなことさえ信じたいの、 苦い未来だから。 嗚呼、忘れないでいたくて。 嗚呼、思い出したくなくても、 脳裏に焼き付いてしまうよ、 焦げ付いた砂糖が。 嗚呼、また逢いたいだけなの。 嗚呼、私の手を掴んでよ。 あの日にもう一度だけでも、 戻れたら良いのに。 だって。 私の傍にはあなたしか、 居得ないのですから。 誰も来ない朝焼けと歩き出す、 全て奏音の所為です。 |